宮部みゆき杉村三郎シリーズ「希望荘」の感想とあらすじ
宮部みゆきさんの杉村三郎シリーズの4作目となる「希望荘」。
「誰か Somebody」
「名もなき毒」
「ペテロの葬列」
「負の方程式」※ソロモンの偽証最終巻に収録
「ペテロの葬列」でのラストは、思わず「はぁぁぁ?!」と叫びそうになりましたが、「希望荘」ではその後が描かれ、表紙イラストの杉村三郎と思われる人物にふさわしい人間味が溢れるけれども、どこか物悲しい短編が4作収められています。
宮部みゆき「希望荘」のあらすじ
宮部みゆきさんの「希望荘」には
表題の「希望荘」の他に「聖域」「砂男」「二重身(ドッペルゲンガー)」の全4作が短編集のような形で収録されています。
どの話も人間の悲しさ、怖さ、汚さ、そして、やさしさみたいなものが散りばめられています。
「希望荘」は東京で私立探偵として再出発した杉村三郎に亡くなった父が生前にした「昔、人を殺した」という告白が本当かどうかを調べてほしいという依頼が入るところから始まります。
調べていくと、35年前の殺人事件と父が関係しているかもしれないことがわかり・・・、さらに調べていくと最近似たような事件が近くで起こっていて、父の残した言葉の謎が解けていきます。
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宮部みゆき杉村三郎シリーズ「希望荘」の感想
★★★★☆ 4.0
まずは、前回の「ペテロの葬列」の妻の不倫からの離婚、退職という衝撃のラストから、杉村三郎さん一体どうなってしまうん?!と心配していました。
私の頭のなかでは杉村三郎さんはドラマで主演されていた小泉孝太郎さんで再生されています。
ちなみに、この杉村三郎=小泉孝太郎のキャスティングは宮部みゆきさんのリクエストだったらしい。
すごくピッタリ合っていると思います。
私の心配におよばず、「希望荘」では杉村三郎が立ち直って、新しい人間関係を作り、周りの人と上手くやりつつ私立探偵を開業していて良かったと一安心。
娘の桃子ちゃんとも毎日のようにメールやスカイプしているみたいだし。
希望荘に収録されている話は全ての話がちょっと救いがないというか、後味が悪い話しかないけれど、杉村三郎の実直な人柄がにじみ出ていて、どれも面白かったと思う。
特に表題ともなっている「希望荘」はおじいちゃんと孫のつながりがすごく、良かった。唯一救いがある話かもしれない。
宮部みゆきさんの本を読んでいるとたまに、ハッとする言葉があって、数年前に読んだ、杉村三郎シリーズの最初の「誰か Somebody」にあった言葉が忘れられない。
詳しいシチュエーションは忘れたけれども「誰か Somebody」では逆玉の輿に乗った杉村三郎を良かれと思っていない人たちが居て、その人たちの事を指してだったと思うけれど、杉村三郎の母の言葉。
人間てのは、誰だってね、相手がいちばん言われたくないと思ってることを言う口を持ってるんだ。
どんなバカでも、その狙いだけは、そりゃあもう正確なもんだから。
「誰か Somebody」宮部みゆき から引用
はぁぁぁぁああああーーーーーわかるわ!!と当時、納得したものです。
どんなバカでもって辺りが、人間を物語っているなぁと。
ぜひ、シリーズを読むなら最初の「誰か Somebody」からをおすすめします。
誰か Somebody 文春文庫 / 宮部みゆき ミヤベミユキ 【文庫】
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